我輩の推理

達哉「なんだよ,ヴィクトル。俺だけに話って」

ヴィクトル「お主もともとこの事件を追っていたのか?」

達哉「いや,俺は何も知らなかった。知り合いのこのパン屋が襲われて初めて知ったのさ。しかしニュースを調べても犯人の動機がまったくつかめない。犯人は金品や商品を取ったり店を破壊しているわけでもない。そして客やほかの店員は襲ったりしていない。一体何がしたいか分からないよ」

ヴィクトル「しかし…この事件をとく事が出来るのはお前達サマナーだけかも知れん」

達哉「どうして」
ヴィクトル「これを見ろ。さっきカンフュールを診察した時にこんなものが刺さっていた」

達哉「…毒針だ」

ヴィクトル「その通りだ。これは悪魔が使う毒針だ」

達哉「犯人は悪魔だってのか」
ヴィクトル「犯人が悪魔となると我輩も色々と気にかかる。何とか犯人を見つけて欲しい」

メアリ「ヴィクトル様,次の患者様をお通ししてよろしいですか」

ヴィクトル「今行く」

達哉「忙しいんだな」

ヴィクトル「インフルエンザの時期だからな。この所悪魔達の治療が忙しくて本職の研究もままならんくらいだ。と言うのも昔,我輩が日本に来た頃(今から100年くらい前)は悪魔は人間と係わり合いになることはほとんどなかった。しかし先の太平洋戦争後の高度経済成長期から人間世界で生活する悪魔も増えて,その分,人間から病気をもらったり,人間と同じような病気になる悪魔も増えた。人間からインフルエンザを移される悪魔も多いし,人間と同じ食生活をしていたり,運動不足になったり,喫煙や飲酒を覚えたりで糖尿病や心臓病の悪魔も増えた。我輩が日本に来た頃には悪魔に生活習慣病なんてありえなかったのだ。毎日傷病人の悪魔を診るだけで一日が終わってしまう」

達哉「結構激務だな」

ヴィクトル「いや,治療に来てくれれば我輩はもうかるから我輩は別に構わん」

達哉「はぁ?」

ヴィクトル「まぁもうかるのはありがたいが150年以上悪魔とかかわる研究をしていて悪魔とともに過ごしてきてこのようなことになるのは我輩も忍びないのだ」
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