売ってはいけない

ムラタさん「薫ッ,ロシアピロシキ揚がったら店に出しといてー」

薫「はいッ。よいしょっと」
SD王子「こんにちわー」

薫「俊彦ちゃん,いらっしゃい。今帰り?(そういえば前から気になってるんだけど俊彦ちゃんって仕事は何してるんだろ?)」
SD王子「これが食べたいっ,これっ」(バンバン!!)

薫「メロンパン?」

SD王子「違うっこれっ」(バン!!バン!!バン!!)

薫「あんぱん?」

SD王子「だーかーらーこれっ!!これっ!!!!!」(バンバン!!!!!)

薫「(ガラスをそんなに叩かなくてもパンの名札を読んでくれればいいのになぁ)これ?これはクリームサンドパンだよ」

SD王子「うんっ,それ」

薫「\80ね」
SD王子「またねー」

薫「どうもありがとう。(よっぽど横着な性格なのか。それともパンの名札の字が読めないのかな?)」
ムラタさん「俊彦ちゃんが来てたのか」

薫「あっ店長」

ムラタさん「もしかして俊彦ちゃんに菓子パンうった?」

薫「あ,はい。いけなかったですか?でもちゃんとお金はもらいましたけど」

ムラタさん「そうじゃないんだ。おうちの人と約束でね俊彦ちゃんには菓子パンは売っちゃだめなんだ」

薫「すみませんでした」

ムラタさん「気にしないでいい。言わなかった私が悪いんだから」

薫「次から気をつけます。でもなぜですか」

ムラタさん「薫は人間の世界に来てから日が浅いから知らないがああ見えて俊彦ちゃんは世界的にも有名なダンサーなんだよ」

薫「そうだったんですか!!すごい!!」

ムラタさん「バレリーナにとって体重はシビアな問題でね。体重が増えてしまうとリフトする相手のダンサーの体に負担がかかってしまったりするし,何より俊彦ちゃん自身が怪我をしたり事故につながるからだそうだよ。あの子うちの菓子パンが大好きでね,かわいそうなんだけどこればっかりはしかたない」

薫「…そうだったんですね。でもなんだかかわいそうだなぁ」
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