大切な宝物
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SD賢姫「…それじゃあ,話してくれるわよね。この壺の中身は何なのか,どうしてあなたがこんな扮装をして子供にこんないたずらをしたのか…」 海賊の亡霊だった人「この壺は私の本当の宝物が入っているのだ」 |
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海賊の亡霊だった人「私が小学生の頃,といっても当時は戦時下で国民学校と呼ばれていた。私が9歳の頃,この山でこっそり捨て犬を見つけたて,当時は食べ物もなく家で犬を飼う余裕なんてなかったから犬をタロと名付けて自分の飯やおやつを分け与えたりしてこっそりこの山で飼っていた。タロという新しい友達ができて私は本当にうれしかった。…しかし,その2ヶ月後,あれは忘れもしない,6月だ。神戸大空襲で,このあたり一帯がじゅうたん爆撃で焼け野原になってしまった。私達家族は家を焼け出されたが何とか命だけは助かった。もちろんすぐにタロの元へ急いだ。山頂は山火事の跡のようなひどい有様で,私は半日歩き回って,ようやくタロの遺骨を見つけた。熱かっただろう,苦しかっただろう,その当時金属類回収令といって,武器や軍艦を作るために国が一般家庭からも金属類を集めていてその代わりに瀬戸物と交換してもらっていたから家に瀬戸物はたくさんあった。だからそれにタロの遺骨を入れて埋葬した。それから戦後,いつかはタロのことをちゃんと供養してやりたいとおもっておったんだが,私は仕事が忙しく,その機会に恵まれなかった。やっと気が付いた時には私は長年の職業病で足腰が弱っていて,掘り起こしてやることができなくなっていた。そこで私はどうせなら仕事柄変装は得意だから子供たちに遊び半分で手伝ってもらおうと変装をして,特殊効果で光の物体を飛ばせて子供を誘い寄せた」 達哉「…はぁ」 |
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SD幸ちゃん「わかるよ,わかるよ,おっさん!ペットは家族だもんな!」 達哉「幸ちゃんは動物大好きだからなぁ」 海賊の亡霊だった人「しかしおかげでこれでタロの供養をきちんとしてやれるよ」 |
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達哉「そういえば幹裕君はどうしてあの山に行こうと思ったの?」 みっ君「僕はあの発光体は新種の蛍か何かだと思ったんです。それで調べて社会科の研究発表のテーマにしようと」 SD幸ちゃん「社会科の研究発表?最近の小学生は進んでるなぁ」 SD賢姫「あら,じゃあとんだめにあったわね」 みっ君「でも大冒険で面白かったです。研究発表はテーマをもう一度考えます」 |